味の達人から聞く、小坂の魅力。
「寝ずし」や「あねかえし」といった郷土料理を若い人にも作ってもらいたいんや。

(1)地元の食材を活かした郷土料理を伝える活動

  「ヘルスメイト(食生活改善推進協議会)」は下呂市の生涯学習の事業で、親子の食育講座、乳幼児の保護者のための料理教室を通じて、「地元の食材を活かした郷土料理を伝えたい」と思って活動しているんや。若い人にも、郷土料理を作ってもらいたいんや。
 郷土料理というのは、五平餅や朴葉寿司、それに「寝ずし」や「あねかえし(※)」な。

(※)「あねかえし」は、米粉とよもぎを練り混ぜて作った生地に餡をくるんだ和菓子。5~6月の新緑の季節に限定し、岐阜県飛騨地方南部の下呂市萩原町を中心とする限られた地域で伝統的に作られている。「あねる」とはこの地方の方言で「練る」ことで、「あねて」「ひっくり返し」ながら生地を作ることから「あねかえし」という。

(2)「あねかえしのおばちゃん」と呼ばれて

 「あねかえし」は、平成9(1997)年に飛騨の婦人指導者研修会で習ってきたの。それから毎年5月になると、「あねかえし」づくりを教えに行っとるの。サイクリングロードによもぎを採りに行ってね。もう早や10年以上になるな。生地を平らに広げる道具はね、小坂の大工さんに頼んで作ってもらったの。
 湯屋小学校では、4年生のクラスで作って、全校に配るんやな。親子でな。保育園でも、園児と親といっしょに、お父さんたちも来てくれて、みんなで作るんやな。あと、ボランティアで作ってお年寄りに食べてもらったり。

 保育園でも学校でも、子どもたちが楽しそうにやってくれるのがいいね。真剣にやるよね、みんな。「こねるのをやりたい!」ってね、順に並んで、一生懸命やってくれるよ。
 学校帰りの道とかで会うと、「あねかえしのおばちゃん」って、そう呼んでくれるくらいで。よもぎが生えとるのを見ると、「これで作るんやもんね」なんて言ってくれるもんで。
 保育園や学校で、先生と一緒によもぎを採ってきて、きれいに洗って、茹でておいてくれるんや。
 最初はみなさん難しく考えてみえるようやけど、お母さん方も実際やってみると「簡単やった!」って言われるもんね。保育園だと3年やれるから、お母さんも3回習えるわな。

(3)季節とともにある伝統の郷土料理

  「あねかえし」は、農作業のときのおやつに田んぼに持っていったの。昔は餡子なんてそんなになかったかもしれんけどな。草も糸引くような、滑らかでないような、よもぎだけを焼いて、砂糖つけて食べたんやな。
 朴葉寿司も、田植えの時に持っていったんやよ。手が洗えなくても、朴葉の葉ごと握りなおして、そのまま触らずに食べられるようにな。
 節句といえば5月5日ですけれども、この辺りは朴葉を使うので、一ヶ月遅れで6月5日が節句です。お雛様も、今は3月3日やけれども、本来は一ヶ月遅れやった。

 「寝ずし」はお正月料理。炊いたご飯を人肌に冷まして、麹を混ぜて、切っておいた大根とにんじんを塩漬けにして硬く搾ったものを混ぜて、塩マスの身がくずれないようにご飯にのせて。師走の25日くらいに開いて、逆さまにして水を抜いてね。昔は、その汁でお正月の料理をしたそうです。そこからまた30日頃までぎゅっと絞って。最後は混ぜずによそって、お正月に食べます。
 小坂では、マスが貴重やったし、ごちそうやったんやな。朴葉寿司もマスを使うし。

 「寝ずし」はな、母に習ったんやな。こんなこと言ってアレやけれども、母は料理上手やったで。いろいろ工夫してやらはったもんで。それで、自分も昔から料理は好きでね。
 「寝ずし」もヘルスメイトで教えるようになって、そうしたらみんな、作るようになって。
 「初午だんご」は、米粉を繭の形に団子にして湯がいて、枡に入れて山に盛って、神棚に備えるんです。「今年もいい繭ができますように」って。
 今は高級食材になってしまったけど、赤い「きび団子」もあってな、昔はな。キレイでよかった。
 「五平餅」も、中学生に「夢プラン(自分の好きな郷土に親しむ体験を行なう子ども会の活動)」でずいぶん前から教えとるし、ヘルスメイトでも教えるようになった。

(4)人とのふれあいから受け継いでいくもの

 そういったヘルスメイトの活動やら、いろいろと外に出るようになったきっかけは、平成2(1990)年にうちのおばあちゃんが亡くなって、家事から手が離れて、それからやわな。
 「ふれあいセンター」ができて、独りで住んでみえる人の手助けができたらということで、民生委員さんが主になって、10人くらいで「タンポポ会」をはじめたの。独り暮らしの男の方がおられたもんで、何か作って、二人づつでお話ししにいって、困ってることのお手伝いをして。喜んで待っとってもらえてね。それから、独り暮らしのお年寄りにお弁当を作って配ったりとか、年賀状を出したりとかいう活動をしとってね。

 ヘルスメイトの活動も、最初は山之口(下呂市)の位山自然の家に一泊して、「あねかえし」と「げんこつ」を習ってきたところからやわね。
 そのときに、「ぐーちゃん漬け(かぶらと大根のピンクの漬物)」も習ってきたの。河合村の人にな、「なにか美味しい漬物ない?」って聞いたら、教えてくれたの。それで、それもみんなに教えてあげたの。
 そうやってね、その「場所」に行ったときにいろいろ聞くの。そうすると、「こういうのあるよ」っていって教えてくれるで。
 やっぱ「場所」に出ていかなあかんな。それで、いろいろな話を聞かなあかん。いろんなこと教えてもらって、それをまた、持って帰ってきて、みんなに教えて。
 えらい(大変だ)なぁと思うこともあったけど、そやけど、みんなのおかげでやってこられたな。本当に、おかげやて。

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