


平成7(1995)年に岐阜県のイベント「花フェスタ」が行なわれたときに、県内の各市町村ごとに特産品を考案しようという試みがあったの。そこで小坂町でもメンバーが集まって、私たち年齢の高いグループと、若い人たち、それぞれに特産品を考えてみることになったわけ。
これが、「エプロン塾」のはじまりになったの。
その後、小坂町役場から「地元の食材を使った小坂の特産品を」という公募があってね、そこでもまたみんなでいろいろ作ってみたの。メンバーがそれぞれ自宅で試作して、持ち寄って、みんなで試食し合って、「これならいけるんじゃない」とか言って。
平成7年の8月にあった「大衆味おこしコンクール 飛騨地区大会」では、鉱泉粥に、小坂の特産品の川魚や椎茸や漬物なんかを添えて、柿の葉とか季節のものを使って雰囲気を出した「鉱泉粥御膳」が、優秀賞をとって表彰もされたんやよ。
みんな、本当にいろいろと勉強したんやよ。みんな一生懸命やったの。楽しかったの。集まって、みんなで話し合いをしたり、作ったりすることがすごく楽しかったの。
小坂に道の駅(南飛騨小坂 はなもも)ができて、その時にエプロン塾の名前で「郷土食の五平餅を作ってくれんか」と言われて、「地元の味」をちゃんと引き継いでいかないかんいう思いでやっています。
五平餅は、炭で炙るのが私たちのこだわり。下呂市のナラ炭ね。炭を使うと味が違うよ。あと、素材は全部地元のもので。メンバーが作ったお米で、醤油は萩原の麹村のもの。濃くて田舎の醤油やな。タレに使う「あぶらえ」というのは、一般的に言う「エゴマ」。これは地元のお年寄りに作ってもらってる。
今は1本150円で販売してます。ほとんど利益はなくて、8人いるメンバーはみんなボランティアみたいなもんだけれども、作ったり売ったりすることが楽しいっていう人間ばっかりだもんで続いとるな。毎週、金曜に集まって五平餅を握ってるんだけれども、ちょっとだけでも顔を出して、世間話やいろんな話をする、そういうことがストレス解消になっとるの。