


鈴蘭高原にある東海ラジオの山荘の管理人をしていて、そちらのお客様に、川から鮎やらアマゴを獲ってきたり、山菜を採ってきたり、あとは自分で借りてる畑で野菜を作って、お出ししてきたの。
鮎の友釣りは、うちの旦那と一緒に、朝6時に川へ行って、夕方5時か6時まで12時間しとることもあるけど。それでも足りんくらいやわ。
野菜はね、きゅうりとかトマトとかじゃなくて、例えばハヤトウリとかトウガンとか、「アイスプラント」っていうしょっぱい菜っ葉とかね、とにかく人が作らないようなものを作りたくて。山荘で出す以外にも、「分けてほしい」って直接電話をかけてくる人もおられるし、道の駅「はなもも」で販売したり、高山の市場まで持ってくこともある。
みんなよく、「順ちゃん、いつもいい野菜ができるねぇ」って言うから、「あんたら、朝(野菜に)おはようって言う?」って。「今日は暑いでがんばれよ、水あげようか~」って。そういう気持ちでおらんと、野菜もうまいこといかんよって、私、いつも言うの。人間と同じよ。声かけてもらえれば、がんばれるじゃん。
その他に、春やったら山菜採り、秋はきのこ採りに栗ひろい。あとね、山ブドウでジュースをつくったり、大っきな岩茸も採れるよ。冬は冬で、紙粘土で人形づくりしたり、お母さんと頭の体操パズルしたりしてる。
とにかく暇しているのがもったいない。もう時間が惜しくって惜しくって。
それに加えて、今は頼まれて蜂の駆除やマムシ退治もしとるから。ちゃんと宇宙服みたいなの着て。ほとんど業者や(笑)。
蜂の駆除をして捕ったスズメバチの幼虫、甘辛く煮てお客さんに出すと、これも大喜び。成虫は酒に漬けたりもするけど、巣の中に入ってるサナギ、あれは唐揚げにするとめちゃ美味しいわ。
獲ったマムシも焼いて食べるの(笑)。だってさ、マムシや食用カエル、私が子どもの頃は、まだおやつに食べてたんやよ。
だからうちはたくましいよ。もし災害になったときでもね、私は塩と味噌だけ持って逃げるわ。
でも塩もね、ほら、山にシオノミってあるじゃない? 小っちゃ~い実がちょうどブドウみたいにたわわになってて、黒っぽいやつ。それが11月頃になると真っ白になってる。それを使えばいい塩味が出せるから、塩も調達できちゃうかな、と。
いろんなもん持って逃げてもダメよ。私といれば絶対生きていけるから(笑)。
だけど山荘に来るお客さんはね、ある意味ラッキーだと思うよ。朝が600円、夕食が1,400円の食事代で鮎の刺身や塩焼き、地元で採れた山菜や季節のもん、蜂の子とか珍しいもん。しかも天然だよ。野菜も全部無農薬やし。
山荘の管理人になって20年くらいになるけど、今は本当に楽しいよ。鮎掛け(釣り)も、百姓も、山菜採りも、まったく苦に思わない。自分が楽しんでやってるから。
次は何しようか、次は何しようかって、いっつもそればっか頭の中で考えとるもんねぇ(笑)。