自然の達人から聞く、小坂の魅力。
山荘の管理人として20年、地元の自然から授かった恵みでお客様をおもてなしします。

(1)山荘の管理人として

畑中 順子さん  鈴蘭高原にある東海ラジオの山荘の管理人をして、もう二十何年かな? そちらのお客様に、川から鮎やらアマゴを獲ってきたり、山菜を採ってきたり、あとは自分で借りてる畑で作った野菜をお出ししてきたの。

 東海ラジオの山荘というのは、要は保養所で、会社の方やスポンサーさんが来られるところなの。
 山荘のお客さんは、だいたい7時頃に朝ごはん食べて、8時には出てくやろ? そうしたら旦那と二人でめいめいに、「あんたは風呂、私は部屋とか」って掃除して、9時か10時には自宅に戻って、それですぐ二人で川に行って、鮎の友釣り…。
 で、その日にお客さんがあれば、3時には川から上がってきて、5時ぐらいやな。うちに帰って、またすぐ山荘に上がって、お客さんのやわい(飛騨ことばで「準備」のこと)して、ごはんを出して、洗いものや片づけしてその日はおしまい。で、翌朝また5時に起きて朝ごはん用意して…とにかく段取り良くしといて、それでまた川へ行く。
 あと、畑の仕事もあるやろ。夏やったら、5~6時に川から上がってきて、すぐ畑。それがたいがい夜の7時まで。
 その間に、春やったら山菜採り、秋はきのこ採りに栗ひろい。冬は冬で、紙粘土で人形づくりしたり、お母さんと頭の体操パズルしたりしてる。
畑中 順子さん  それに加えて、今は頼まれて蜂の駆除やマムシ退治もしとるから。ちゃんと宇宙服みたいなの着て。ほとんど業者や(笑)。 とにかく暇しているのがもったいない。もう時間が惜しくって惜しくって。でもね、楽しいよ、毎日(笑)。

(2)鮎、野菜に山菜、蜂やマムシも!?

 鮎を始めたのは、たまたまお客さんに竿をもらってね、うちの旦那、釣りが好きで、「一緒にやろうか」って始めたの。ここ20年くらいのことよ。
 朝6時に川へ行って、夕方5時か6時まで12時間、漁をしとることもあるけど。それでも足りんくらいやわ。
 鮎は、獲ってきたら、山の水を入れたうちの水槽で2~3日泳がせとくの。すると川の苔やら泥が抜けて、お腹の中が綺麗になるんやな。鮎の「うるか」って知っとる? 内臓でつくる塩辛ね。あれはそれでないと使えんの。

 野菜はね、とにかく人が作らないようなものを作りたくて。きゅうりとかトマトとかじゃなくて、例えばハヤトウリとかトウガンとか、「アイスプラント」っていうしょっぱい菜っ葉とかね。そういった野菜を作って、山荘の食事に出すの。
 「分けてほしい」って直接電話をかけてくる人もおられるし、道の駅「はなもも」で販売するほかに、高山の市場まで持ってくこともある。
 みんなよく、「順ちゃん、いつもいい野菜ができるねぇ」って言うから、「あんたら、朝(野菜に)おはようって言う?」って。「今日は暑いでがんばれよ、水あげようか~」って。そういう気持ちでおらんと、野菜もうまいこといかんよって、私、いつも言うの。人間と同じよ。声かけてもらえれば、がんばれるじゃん。

 山菜採りではね、男の人はみんな私の助手(笑)。フキなんかは軽トラックいっぱいに採って、運ぶのは旦那。いやぁ、旦那様のおかげ(笑)。
 山菜採るのも、昔は一人で山に行ってたの。あの、シェパード飼ってたから、犬連れてやけど。もう、どこにでも行ったよ。今は一人ではちょっとな…クマがおったりするから。
 山ブドウ採るのもね、うちの旦那に下で梯子もたせたり、袋持たせたりして、木の登るのはあたしの仕事。今年は山ブドウいっぱい採れたわ~。いっぱいブドウジュース作った。そういうものもお客様にお出しして。

 あとね、珍しい岩茸も採れるよ。岩盤に引っ付いているやつで、岩海苔でもない、キノコでもない、手のひらサイズで100年くらいっていうやつ。大っきいのがあるのよ、小坂にも、あちこちに。でもね、たいてい険しいところにあるから、採るのは大変よ。

ハニーハンター  それとね、ハニーハンターやね? 蜂の駆除をして捕ったスズメバチの幼虫、甘辛く煮てお客さんに出すと、これも大喜び。
 成虫は酒に漬けたりもするけど、巣の中に入ってる、もう蜂に近いサナギ、あれは唐揚げにするとめちゃ美味しいわ。食べきれずに次の日まで置いといて、「捨てようかなぁ」って思ってたら、ちょうどお客さんがいたから揚げ直して出したの、ちょっとお塩かけて。そしたらみんなが「これ、お土産にしたいんだけど、もうないの?」ってくらい好評だった。
 蜂の駆除は、みなさんたいてい困られるとまず役場に通報するのね。で、役場から私らに連絡が来て。連絡した人もね、うちが行くとびっくりされるの、「え、あんたがやるの?」って(笑)。ここでも旦那は下で梯子を持っとる。あの人、高いところ嫌いやから(笑)。
 でもこれね、本当に辛いよ。危険だし、暑いし息苦しいし…。と言いながら、道具そろえたり、何だかんだ言いながら楽しんでたりする(笑)。

マムシ酒  「マムシ獲ってくれ」って電話もかかってくるからね。それで、マムシも獲って、焼いて食べるの(笑)。だってさ、マムシや食用カエル、私が子どもの頃は、まだおやつに食べてたんやよ。
 でもさすがに自分で皮を剥ぐのは何か嫌やから、そこは連れに頼んでさ…。

(3)たくましく生きる家族

 小っちゃいときに、「ヘボ」って言ってたけど地蜂の子な、それを私の親が捕ってきて、炒って蜂ご飯とかにして食べてたもんよ。それを覚えてるから、自分で食べるのも好きだし、お客さんに出してあげても喜んでくれるし。
 とにかく私の小っちゃいころには、お父ちゃんもお母ちゃんも大阪へ出稼ぎに行ってたから、魚釣りで食べてたおじいさんとおばあさんと、うちら女ばっか4人姉妹で育ったの。で、私は男勝りで、焚きもの割ったりとか、そういうことをしてた。

 うちの孫なんかも、蜂の内蔵ね、それを針でピッと抜いて身だけにするんだけど、それが孫の仕事なの。小学校6年生と4年生の孫。
 あるときね、うちの娘の友だちの家族が5~6組来てて、家に大人と子どもで20人くらいいたわけ。で、その内臓を抜いたやつ、生で「食べてみやぁ」って(笑)。嫌な顔する奥さんもみえたけど、子どもたちは「もっと食べたい!」って言う子もいたね。

 だからうちはたくましいよ。災害が起きても、絶対生きていける(笑)。
 もし災害になったときでもね、私は塩と味噌だけ持って逃げるわ。
 でも塩もね、ほら、山にシオノミってあるじゃない? 何の木なのかな、細かい、小っちゃ~い実がちょうどブドウみたいにたわわになってて、黒っぽいやつ。それが11月頃になってくると塩を吹くの。真っ白になってる。それを使えばいい塩味が出せるから、塩も調達できちゃうかな、と。
 いろんなもん持って逃げてもダメよ。私といれば絶対生きていけるから(笑)。
 でも、ふだんの自分らの食事は買ってくるのが多いんやな。うちのオヤジは好き嫌いが多いからさ(笑)。私ひとりなら、たいがい自分が採ったもので済んでしまうんやけど。

(4)次は何をしようか

畑中 順子さん  山荘に来るお客さんはね、ある意味ラッキーだと思うよ。朝が600円、夕食が1,400円の食事代で鮎の刺身や塩焼き、地元で採れた山菜や季節のもん、蜂の子とか珍しいもん。しかも天然だよ。野菜も全部無農薬やし。

 山荘の管理人になって20年くらいになるけど、今は本当に楽しいよ。鮎掛け(釣り)も、百姓も、山菜採りも、まったく苦に思わない。自分が楽しんでやってるから。
 いや、自分だけじゃなくて、家族みんなが楽しんでやってるからな。うちのお母さんがまだ元気で、夕飯も作ってくれとるからなぁ。お母さんのおかげだよ。
 今は、畑が一番やな。のんびりしとる時間がもったいない、とにかく畑に行きたい、畑に行って、次から次へといろんなことをやりたい、珍しいものつくりたい。今年は落花生の種をまきました。
 次は何しようか、次は何しようかって、いっつもそればっか頭の中で考えとるもんねぇ(笑)。

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